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夕日観音(弥勒仏)

奈良市高畑町。花崗岩製。仏像岩の所から急坂を登った場所にある磨崖仏で、南面した岩肌に彫られ、夕日に映えて美しいところから、「夕日観音」の愛称で呼ばれるが、観音ではなく如来像で、左手は肩まで上げて第二指を捻じて第一指の指先と接した施無畏印。右手は下にのばし、掌を表にして指をのばした与願印で、大野寺弥勒仏と同じ印相であり、弥勒仏を表現したものであろう。蓮華座上に、幅広い大きな二重円光背を浅く彫りくぼめ、像高152cmの如来立像を半肉彫りしたもので、力強い表情の中に優美さを漂わせた顔立ちが実に美しい。体部の肉付けも量感があり、くせのない温和なプロポーションは、この作者が一流の石工であったことを物語っている。朝日観音と呼ばれている磨崖仏の顔立ちと同じ個性を示しており、尼が辻の文永二年(1265年)地蔵石仏とも作風が通じて、同時代の造立だろう。胸には卍(まんじ)が刻まれており、如来の吉祥相である。(奈良県史 第七巻 石造美術 1984年 p.277)

​アクセス

〒630-8212 奈良県奈良市春日野町

JR奈良駅、近鉄奈良駅から市内循環バス「破石町」下車。東へ滝坂の道沿いに、徒歩約35分程度。

​寝仏の北側斜面を登り、滝坂三体地蔵近くからさらに斜面を西方向に登る。石像岩四仏の上の岩を登った先にあります。

*登山道を歩くことになります。装備などの準備を心がけてください。

*立ち入り禁止区域にあるため、近づいての見学はできません。

 実物は、道沿いからの見学をお願いします。

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